「死にたい」が「殺したい」になるとき。登戸事件にも通じる、平成あの事件 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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「死にたい」が「殺したい」になるとき。登戸事件にも通じる、平成あの事件

事件から学べることは多いが…防止は簡単ではない

■池田小事件の犯人も死を望んだ

 平成13年には大阪で附属池田小事件が起き、低学年の児童8人が殺された。凶器が包丁だったことなど、登戸事件との類似も指摘される惨劇だ。犯人は37歳で、22歳での婦女暴行を皮切りに十指に余る事件を起こしていた。職も転々とし、結婚と離婚も4回ずつ。その人間性について「長年、付き合いのある地元関係者」のこんなコメントが『週刊文春』に紹介されている。

「あいつは法の網の目をかいくぐるために巧みに『正気』と『狂気』を演じわけているんです。本人自身が『俺は精神病やから何やっても大丈夫なんや』とうそぶいているし、そのアリバイ作りのために薬を飲んでいるフシがある」

 親族からも、こんな「本音」が。

「死刑になるべきや。身内から獄死者出すんは恥ずかしいけど、この際、そんなこと言うとられへん」

 そして、最後は本人も死を望んだ。精神鑑定で責任能力があるとされ、観念したのか、死刑が決まると一刻も早い執行を要求したのだ。それでいて、死刑廃止論者の女性と獄中結婚するなど、人間的な欲望も死ぬまで衰えなかった。殺された8人の子供たちより、人生を愉しむことができたようにも見える、というのは言い過ぎだろうか。

 なお、この小学校を狙った動機については、

「エリートでインテリの子供をたくさん殺せば確実に死刑になると思ったから」

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『平成の死: 追悼は生きる糧』

 

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鈴木涼美さん(作家・社会学者)推薦!

世界で唯一の「死で読み解く平成史」であり、
「平成に亡くなった著名人への追悼を生きる糧にした奇書」である。

 

「この本を手にとったあなたは、人一倍、死に関心があるはずだ。そんな本を作った自分は、なおさらである。ではなぜ、死に関心があるかといえば、自分の場合はまず、死によって見えてくるものがあるということが大きい。たとえば、人は誰かの死によって時代を感じる。有名人であれ、身近な人であれ、その死から世の中や自分自身のうつろいを見てとるわけだ。
これが誰かの誕生だとそうもいかない。人が知ることができる誕生はせいぜい、皇族のような超有名人やごく身近な人の子供に限られるからだ。また、そういう人たちがこれから何をなすかもわからない。それよりは、すでに何かをなした人の死のほうが、より多くの時代の風景を見せてくれるのである。
したがって、平成という時代を見たいなら、その時代の死を見つめればいい、と考えた。大活躍した有名人だったり、大騒ぎになった事件だったり。その死を振り返ることで、平成という時代が何だったのか、その本質が浮き彫りにできるはずなのだ。
そして、もうひとつ、死そのものを知りたいというのもある。死が怖かったり、逆に憧れたりするのも、死がよくわからないからでもあるだろう。ただ、人は自分の死を認識することはできず、誰かの死から想像するしかない。それが死を学ぶということだ。
さらにいえば、誰かの死を思うことは自分の生き方をも変える。その人の分まで生きようと決意したり、自分も早く逝きたくなってしまったり、その病気や災害の実態に接して予防策を考えたり。いずれにせよ、死を意識することで、覚悟や準備ができる。死は生のゴールでもあるから、自分が本当はどう生きたいのかという発見にもつながるだろう。それはかけがえのない「糧」ともなるにちがいない。
また、死を思うことで死者との「再会」もできる。在りし日が懐かしく甦ったり、新たな魅力を発見したり。死は終わりではなく、思うことで死者も生き続ける。この本は、そんな愉しさにもあふれているはずだ。それをぜひ、ともに味わってほしい。
死とは何か、平成とは何だったのか。そして、自分とは――。それを探るための旅が、ここから始まる。」(「はじめに」より抜粋)

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宝泉 薫

ほうせん かおる

1964年生まれ。主にテレビ・音楽、ダイエット・メンタルヘルスについて執筆。1995年に『ドキュメント摂食障害―明日の私を見つめて』(時事通信社・加藤秀樹名義)を出版する。2016年には『痩せ姫 生きづらさの果てに』(KKベストセラーズ)が話題に。近刊に『あのアイドルがなぜヌードに』(文春ムック)『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、最新刊に『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)がある。ツイッターは、@fuji507で更新中。 


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  • 宝泉 薫
  • 2019.04.28